古川設計室による伝統構法の家づくり

三方良しの産直住宅システム

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伝統構法万歳 3方良しの産直住宅システム

価格は売手と買手の間で決まる。産直住宅が最近流行っているが、買手が安く買いたい意向と売手が高く売りたい意向は相反する。途中の中抜きをしたとしても、途中の手間はどちらかが負担しなければならず大して安くもならない。
伝統構法に限ればいろんな展開が生まれる。
外国は丘に木が植わっているが、日本は山に植わっているので曲がり木が多い。伝統構法では直材は通し柱や管柱に使い、曲がり木は小屋梁に使う。クリープたわみのことを考えれば曲がっているほうが良い。伝統構法は継ぎ手に重なりが必要。渡りあごの場合はスパンより30センチ長めの材が必要である。例えば3.9Mスパンのときに、オーダー材は4.2M材が必要となる。しかし、量産伐採システムの山側は30M以上ある木を3.4.6.Mと定尺に切断する。4.2Mの材が欲しければ6M材の価格となる。つまり、1M1万円とすれば4.2Mならば4.2万円で良いはずが6万円となる。施主にとって142%の高買いとなる。柱は3M材が常識である。例えば30Mの木から3Mの柱は10本取れる。階高の低い伝統構法なら2.7Mの柱で良いので11本取れる。また流通システムで特注というのがある。大黒柱7Mは3.4.6Mからもはずれているので、目の玉が飛び出る特注価格となる。産直木材には特注はない。

● 山側にとっての高売り
伝統構法の家に合わせた寸法の玉切りを山に要求する。JAS等の規格とは関係ない切断である。材がバラバラで頭が混乱するが、その代わり2割高く買う。製材所には梁を取った残り材(裏材)を鴨居・敷居材にしてもらう。製材所にも労力に合った対価を支払いする。切り旬が良くても半年の乾燥期間は必要である。山側に近い製材所は田舎なので土地代も安いので、半年間の自然乾燥費用として3~5万円を払う。

● 施主側にとっての安値
住宅の設計には半年ぐらいが必要である。基本設計が終わり、実施設計の前に山へオーダーする。伝統構法は骨組みが単純なので基本設計時にオーダーしても少々の変更には対応が可能である。価格的に見て、直梁・曲がり梁・大黒柱・管柱・鴨居・敷居・枠材をグロスで考えると安値となる。山側は瀕死の状態でお金が無い。山から切り出した時点で山側に、製材が終わった時点で製材所に施主が直接お金を払う。40坪の家で300万円を越えることは無い。又梁・柱以外の鴨居や敷居に節があることを受け入れなければならない。木には枝があるのでその枝が節となる。山の木に「枝は無いほうが良い」とは言えない。

● 設計。施工側にとっての利点
設計はJAS規格と関係なく設計が出来るという良さがある。ただし山の木を見て梁の大きさを設計する必要はある。120×300材は縦に長いので裏材が多く出て無駄になる。120×300と240×240は断面2次モーメントが同じである。240×240の方が構造組み立て時に接合剛性は高いという具合である。
伝統構法で手間がかかるのは継ぎ手の加工である。12Mの桁を4M材使用だと継手3箇所となるが6M材を使えば2箇所となる。タルキや母屋も6Mと長物が使え、継手がかなり減る。
施主と山側の直接取引となるとそこに大工の材料マージン利益は無いが、相当分の利益は確保しないと、大工の理解は得られない。

● トリセツ
秋切りの材を半年乾かしても含水率は35%前後にしか乾かない。伝統構法はこの程度の乾燥が一番良いのだ。(後日記事)。九州は白蟻が多いので杉の木も自己防衛手段としてタンニン成分を多く出す。九州の木に黒ジンが多い所以である。この黒ジンは厄介である。半年乾燥程度では含水率は90%もある。2~3年かけても30%以下には中々ならない。少々収縮しても良い場所。4方曝しの柱や小屋梁に使うのが良い。

 

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